よりみち
パン!セ
中学生以上すべての人たちへ。
キミたちに、
伝えたいこと。



学校の教科書に
書いているわけでもないのに、
親から教わったわけでもないのに、
なんとなく、いつのまにかみんな
「セックスってさあ〜」と知っている。
本当に不思議ですけど、
「お金」と「セックス」って、
じっさいにそれに向かい合ってみることで、
人間のことがわかったりする。
「セックスって、自分だけで
 するものじゃないんだなあ」とか、
「だから、思い通りに
 いかないこともあるんだなあ」
ということを、AVを見る人が
思ってくれればいいな、と
ぼくは考えています。
セックスを記録するものは、
なにもアダルトビデオに限らない。
でも、直接的な抜き差しを
真ん中に据えることで、
見えてくるものもあったりするんです。



ひとはみな、ハダカになる。

バクシーシ山下


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セックスって、なんだ!!!???

子どもからストレートにそう質問されたら、
どう答えますか?
「愛し合う者どうしの、神聖な行い」
「うかつにスルと、
 病気やらのぞまない妊娠やらで、男女とも
 たいへんな目にあったりするもの」
「‥‥おしべと、めしべが、えーと‥‥」

どの穴になにを入れる、
なんて直裁に説明したからとて、
「○○とは、××です」と
言い切ったことにならないのが、
「セックス」のとても不思議なところ。

セックスって、なんだ!?
大人にとっては、世界一答えにくい質問です。
でも、「やらしいこと」への好奇心で
あたまをパンパンにふくらませていたその昔、
ほんとうに疑問に思っていたのは、
「みんな、どうやって“ソレ”をやってるんだろう?」
ということでした。

いざというそのとき、
・部屋はまっくらにするのか
・脱いだパンツはどこにおくのか
・そもそも、パンツは自分から脱いでいいのか
といったことから、
「‥‥えー、もし相手を部屋に呼ぶとして、、、
 修学旅行のペナントとか、そういうもんはやっぱ、
 押し入れの中にしまうのか?」
といったことまで、
する予定、できる予定もないのに、
とらぬ狸の皮算用的な想定だけを、
勉強よりも熱心に行っていたあのころ。

「興味本位で十分です」。

「セックス」をめぐって、
子どもが、いろんな疑問をもつことを、
この本の著者、
AV監督であるバクシーシ山下さんは
はっきりとこう肯定します。

セックスにおける「ふつう」ってなんだ?
セックスするときの、
ヒトのあの気持ちっていったい、なんなんだ?

アダルトビデオという、
きわめて特殊なメディアの世界で、
山下さんの目は、
さながら赤外線スコープのように、
「セックス」という、
人間が行う、普遍的でありながらも
人の目からは絶えず隠される行為に肉薄します。

著者の、
「興味本位で十分です」という、
このたぐいまれなる「率直さ」にぜひ、
胸打たれる大人でありたい。
「アダルトビデオて!」と
先入観に眉をひそめたり、
腰を抜かしたりする前に、
子どもに「ねえ、セックスって、なに?」
と問われたときに、はたして、
このように率直に考え、
答えることができる大人であるか、
思わず、自分に問いかけたくなる一冊です。

(編集担当・坂本裕美)

2008-06-12-THU




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